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「反テロ」戦争と<民衆の安全保障>

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「反テロ」戦争と<民衆の安全保障> 沖縄・アフガニスタン・パレスチナ・東チモール

【CONTENTS】

テロ・「報復」戦争後の沖縄——基地問題とレイプ裁判(高里鈴代 聞き手・天野恵一)
「制裁」のための戦争の抗う——「とにかく殺すな」に立ち返る(水垣奈津子)
日本の集団的自衛権の行使とは——世界唯一軍事超大国への武力援助(梶野宏)
戦争・利権・復興——アフガニスタン「復興支援」を批判する(岡田剛士)
パレスチナはどこへ向かうのか——「オスロ合意」(1993年)の前と後(田浪亜央江)
東ティモールから人道的介入を考える——大国の「介入」と私たちの「介入」(越田清和)

【資料】
アフガニスタン復興支援国際会議・小泉首相のオープニング・スピーチ
アフガニスタン復興支援国際会議・共同議長最終文書
暫定自治政府の取り決めにかんする諸原則宣言(オスロ合意)

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派兵チェックパンフレット5
派兵チェック編集委員会刊
B5判/44ページ/2002年3月発売
500円→特価100円 送料80円(メール便)
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【レビュー】

 タイトルにある通り、このパンフレットは、「9・11」以降の米国の主導による「対テロ戦線」の拡大・グローバル化とそれに追随する日本の状況に関して、6人の論客によるそれぞれの現場・視座のなかで具体的に思考された論考を収めている。

 高里鈴代は、「9・11」の日常生活における影響や、昨年6月の米兵によるレイプ事件裁判の経過の紹介を通じて、基地と軍隊が民衆の安全保障に絶対的に反することを訴える。水垣奈津子は、「とにかく殺すな」に立ち返るとして、殺人を正当化・序列化する言説を丁寧に批判することで「9・11」以降氾濫する二項対立的言説に楔を打つ。梶野宏は、「アーミテージ・レポート」(2000年10月)に示されているブッシュ政権の対日要求そのままに改憲・有事体制へと突き進む小泉政権の戦争政策に至るまでの政治的歴史的な道程を確認する。岡田剛士は、アフガン侵略戦争および「復興支援」への参加を通じて中央アジアにおける資源争奪戦への参入を目論む日本政府の欺瞞性を具体的なデータに基づいて糾弾する。田浪亜央江は、「オスロ合意」の枠組みが持つ矛盾が必然的に現在のパレスチナ情勢の混迷を引き起こしたことを指摘し、平和へのわずかな可能性をイスラエルの兵役拒否の若者に求める。越田清和は、大国の思惑に基づく、PKO等の軍事的な「人道的介入」の危うさを批判すると同時に、市民・NGOの立場からの非軍事的な「人道的介入」の可能性と難しさについて考察する。

 湾岸戦争以降の10年余りで米国の一国覇権主義と日本の派兵国家化は総仕上げの段階に突入したといえる。そのような危機の時代において、反戦運動はいまだその政治的結集軸をいまだに見出せず、政治的無気力の蔓延に対抗できずにいる。しかし、このパンフレットのタイトルにある〈民衆の安全保障〉というキーワードと6つの文章の一見バラバラな配列のなかに示唆的に提起されている今日的モチーフは、逆にこのような時代だからこそ、大上段に構えた政治的スローガンを唱えるだけでなく、例えそれが迂遠で没政治的に見えたとしても、現場に根ざした具体的な関係性、生活感覚を重視した、既成のイデオロギー的枠組みにとらわれない人との繋がり方や想像力を大切をしなければならないということではないだろうか。(役重善洋/パレスチナの平和を考える会)

初出:全国Fax通信第28号(2002.3.25)

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